Print Shortlink

過去の情報に振り回されない

試算表は「先月はこうでした、」という過去のデータしか表示できません。

試算表を見ている時点で状況は刻々と変わってしまっています。試算表には動かなくなった化石となった数字が載っているのです。

過去のデータである試算表を見てその延長線上に線を引いて考えていたのではいざという時に対応を見誤ってしまいます。

小さな汎用部品を作っている町工場ですが、常に最終ユーザーでその部品がどう使われているのかを研究していました。

2次下請の状態でしたが、納品先だった1次下請がつぶれ、元請けと直接取引できるようになった時、より柔軟な納品方法や部品のモジュール化の提案をし、喜ばれたそうです。

実は同じような提案を1次下請けにもしていたのですが、面倒だったのか何も変わらなかったそうです。

1次下請けの会社は延長線上でしか売上予測を立ててこなかったようです。変化を見ることが、変わることが怖かったのかもしれません。

2次下請けだった会社は納品しながら、工場の様子、従業員の話、社長は何に関心があるのか等々を帳簿の摘要欄を使って記入していました。

目の前に起こっていることを、起こるかもしれないことを、見る力、「今、動いている情報」を見抜く力が大切です。

例えば受注が2割減るかもしれない、を事前に感じられなければいけません。また、そうなってから考えたのでは遅すぎます。そうなった時に3割減ってもやっていけるだろうか、のシミュレーションを事前にしておかなければ、いざという時に覚悟を決めることができません。

「この不況時にいきなり倍の注文がきた、」これはとっても危険です。取り込み詐欺かもしれません。喜ぶ前にその先の納品状況を想像してみて下さい。「そんなに売れるもんじゃないな」と気づくはずです。

財務ソフトを使ってシミュレーションすると数字が生きてきます。

数字だけではなく「社長が息子に変わりそうだ、」といった情報も大切です。社長が変わっても今まで通り仕事をくれるだろうか。その仕事がなくなってもやっていけるだろうか。帳簿の摘要欄にその時気づいたことを書きとめるだけで帳簿が生き生きとしてきます。

1次下請けになった会社の売上は倍になりました。そしてただ、言われるままに納品する下請けではなく、開発にもかかわるパートナーとしての地位も手に入れることができました。

試算表はパソコンの画面で確認するだけで十分です。

時々過去数年分の試算表をきれいに綴じて保存している会社がありますが、見直すことは決してありません。捨ててしまいましょう。

Leave a Reply