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「感」と「経験」と「度胸」

「知識や経験を生かし俺は常に最高の判断をしてきた。」そう言われても、それはたまたま高度成長期のいい時期だったからで、何か問題が起きてもお互いに「ま、いいか」で済まされていた時代の話じゃないの、といいたくなる時があります。

あの頃は確かに「感」と「経験」と「度胸」で何とかなったような気がします。今でもその感覚で仕事をしている社長さんを時々見かけます。

最初の借金はとても慎重で、「500万くらい貸してもらえないですかね?」と相談に来ます。「それでは手許キャッシュが少なすぎです。1,500万借りましょう。運転資金に700万、手元に800万(約1か月分の売上)は残しておいてください。それだけあれば入金が少し遅れても資金繰りで苦しむことはありません。」そう説明し、その時はそれで納得してくれるのですが、でもお金が入ると変わります。社長はすぐにそのすべてをかけて勝負に出てしまいました。

結果は在庫の山です。在庫は売れて初めて価値がある訳で、売れ残ればゴミです。売れ残りは換金できても一山いくらの世界です。

その社長が思ったことは、「なるほど、簡単に借りられるんだ、月20万くらいの返済はどうってことない。次も何とかなる、」です。在庫の山は見ていません。次はもっと上手くやってみせる、なんですが実は次も結果は同じです。

そして次の借り入れは社長自身が銀行に行って借りてきます。借りる前に相談はありません。最初の倍3,000万円位借りてきました。話が煮詰まった段階で必要な書類を作ってくれっ、という連絡が入ります。

 

年商約1億円の会社で、月商5.5か月の借金4,500万円。売掛金の回収に2か月かかるとしても資金は売上の2か月1,600万あれば十分足りるはずです。借金は月商の2か月くらいが心おだやかにいられる限度で、それ以上になるとだんだん不安で眠れなくなります。

運転資金が乏しい時は、慎重に仕入れて丁寧に売っていたのに、金が余ると大雑把になります。

そしてこういう借り方をすると借金はなかなか減りません。主な原因は不良在庫、不良債権、なのですがそれだけではありません。それは早く儲けたい、楽したい、そして見栄を張りたい、なのです。

もっと根本的な原因は、会社を維持するために必要な固定費を賄えるだけの粗利を稼げていないことに気が付いていないことにあります。

80円で仕入れて100円で売る。この差額20円を粗利と言います。この粗利で家賃や人件費等の販管費が賄えなければその事業自体が成り立っていません。「売上が伸びれば何とかなる、」と言うのですが、中小零細企業が売上で勝負をかけても薄利多売の大手にはかないません。粗利2割の商売で生き残るのはとても大変です。

中小零細だからこそ、もっと丁寧な対応で勝負しなければならないのです。

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