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経営コンサルタントの話はむずかしい

経営コンサルタントとお話をすると、「この会社は自己資本比率100%です、流動比率も300%、どうです、すごいでしょう。」専門用語だらけの会話になってしまいます。でもこれでは普通の人にはぴんときません。

「借金がありません、無借金です!年商5億円で手許に現金が3億円、信じられませんよね、」この方がわかりやすいです。

「流動性逼迫」何のこっちゃ?ですよね、「金が足りない」とってもすっきりします。
借方、貸方、そのくらいわからなければ経営者として失格だ、と言う人もいるでしょうが準備万端、簿記も勉強して会社を作る人のほうが稀です。

経理って何、そう聞かれた時はこんな風に説明しています。
「お金の流れを管理することなんです。その管理のために次のことだけは覚えておいてください。」
「お金は左手でつかんで右手で放すんです。そしてお金をつかんでない方の手でその理由を書きます。これが経理です。」と

商品を100円で売りました。

左手で「現金」100円をつかみながら、右手でお金が増えた理由を「売上」と書きます。

現金 100円 / 売上 100円

これが簿記です。とっても簡単で単純ですよね。これさえ覚えておけば迷う事はありません。

ちなみにこれを「仕訳」と言います。

これで、現金100円(財産がちゃんとある)と売上100円(損益と言って、財産が増えた理由)の2つの情報を把握することができるのです。(2つの情報を管理するのでこれを複式簿記と言います。)

次に商品を60円で買ってきた時のことを考えてみます。

お金を右手で渡しながら左手でその理由を書く、そう考えれば簡単です。売上の逆ですね。

仕入 60円 / 現金 60円

大多数の人は右利きです。ですから左手だとゆっくり慎重に書かざるを得なくなります。
いい加減に書いてしまうと、あとで自分の字でも読めません。
そして書き終わってから、相手に「お金」を渡す。
これが実は商売のコツなのです。
「この支出はなんだっけ?」が少なくなるとお金がたまります。

何かを仕入れる時も同じです。「社長、100個なら1つ1,000円、1,000個なら1つ500円にします。」
「よし、じゃあ1,000個、」と飛びついてしまっては不良在庫を抱えるだけです。

逆に右手で入金の理由を書くときは「ありがとう」と思いながら丁寧に書いてください。

すぐ代金を払ってくれた人には素直にありがたいな、と感じるはずです。なかなか払ってくれない人にもなぜかな、と思えればその理由も浮かんできます。そのことに気づかせてくれたとに感謝すべきです。
詐欺に会うこともあるでしょう。この時も「くそ!」と思うよりは自分に甘さがあったと思えれば怒りも少し和らぎます。現実には簡単に割り切れるものではないでしょうが、そのことを引きずらず、早く処理をして次に行くにはそう考えるべきだと思います。

そしてこうして作りあげてきた情報がそのまま決算書になるんです。

損益計算書

ここにはお金が増えたり減ったりした理由(売上と仕入)だけを上の表からもってきます。
左は左側に、右は右側にまっすぐおろしてくる、それだけです。そしてその差額が儲け(利益)なのです。

       損益        

仕入  60円  |  売上100円

利益  40円  |

貸借対照表

これは儲けた利益40円がちゃんと財産(お金)で残っているかどうかを確認するための表です。
お金そのものの動き、左手でつかんだ100円と右手で放した60円、これを表にしたものです。

          現金          

つかんだ現金100円 | 放した現金  60円

| 残った現金  40円

ちなみに簿記ではこの左手を「借方」、右手を「貸方」と言います。

基本はこれだけです。

値引きや返品、掛で売った、買った、借金をした、税金をひいて給与を払った、複雑そうですが実はみんな基本は同じです。

掛で物を売った場合を考えてみましょう。

現金の代わりに「将来お金になる債権(売掛金と言います)」を左手でつかんだと考えればあとは同じです。
売掛金という債権を左手でつかんで、右手で債権が増えた理由(売上)を書きます。

売掛金 100円 / 売上 100円

この債権「売掛金」を現金で回収した時、左手で現金をつかんで右手で債権を放した(回収してなくなった)、と考えます。

現金 100円 / 売掛金 100円

分からなくなったら右手、左手を思い出してみてください。

 

この1つ1つの情報は単純でもこれを積み上げて集計する作業量は膨大です。手で書いていたのでは非効率です。また、手書きのままでは情報として加工することが困難です。

帳簿なんか見なくても結果としてお金が残っていれば儲かったんだ、と考える人もいます。でも支払を忘れているからかもしれません。帳簿がなければなぜ儲かったのかもわかりませんし、損をしても原因がわからなければ手の打ちようがありません。それを教えてくれるのが帳簿です。

もう一つパソコンと手書きの帳簿には大きな違いがあります。手書きの帳簿では結果の検証しかできない、という事です。結果として赤字でした、そんな情報には価値がありません。

パソコンの帳簿なら、決算をシミュレーションすることも可能です。四半期ごとの売上の推移を確認しながら決算を予測する。予測した売上を入れてみる、そういう使い方ができます。そしてそうすることで「結果、よかった、ダメでした、」がなくなります。3年先、5年先はわからなくても、そこに向かってどう対処していくか、は少し見えてくるはずです。

「コスト意識を持って営業をしてきました。帳簿もつけていました。」と言っていた社長さんも実は帳簿のほんの一部のことしか知りませんでした。いざ自分の会社の帳簿をつけようとすると迷うことだらけのはずです。税金の納め方もわからないことに気づかされます。
とりあえずエクセルで出納帳や通帳を整理しておこう。そう考える方も多いのですが、これが実は二度手間でとっても効率が悪いのです。
エクセルはその人の個性がたっぷり出てしまいます。「プロなら見ればわかるでしょう、」と言われてもどう解釈したらいいものか、困ってしまう例が多々あります。また、それぞれの表は連動していません。やたらと「○○管理表」といった表が増えていってしまうのも特徴です。

何を管理するのか、が明確でないので不必要な情報に振り回されてしまいます。
だからこそ経理ソフトを使いこなさなければいけません。

ただ経理ソフトのマニュアルはあまり役に立ちません。読むのは苦痛です。説明も直観的ではありません。全然面白くないのです。そして何よりもその情報をどう生かすかがそこにはありません。

これまでの結果と、そしてほんの少し先が見えるように帳簿を整理する方法を身に付けましょう。そしてそれに「情」を加えることで、問題に直面してもどうしたらいいか、が少しづつ見えてくるようになります。
実はもう一つ、少し先んじた帳簿を手に入れることで税務調査も楽しみに変わります。

帳簿には先んじて払ってくれたお客さんのこととか、回収に苦労したお客さんの様子等も摘要欄に記載してあります。調査官から「回収に苦労なされたんですね、」とわかってもらえれば調査も早く終わります。
また、税理士がお客さんと一緒に帳簿を作り上げることで書面添付という制度を利用できるようになります。税理士が税務署に代わって内容のチェックをしました、という書類です。これを使って税務署と敵対するのではなく信頼関係を築いていくことがこれからはとても大切だ、そう思います。

事業を始めようとする方、今までに帳簿を経営に生かすことのできなかった方、是非経営に役立つ、そして見ていて楽しくなる帳簿の整理方法を手にして下さい。

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