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「情」とは

私はこの「情」の字が好きです。「愛」ではなくて「愛情」のほうがしっくりきますよね。「人」ではなく「人情」のある人であってほしいし、「苦情」とは苦しいことをわかってくれ、の意で、決して「文句」ではありません。「情報」にも「情」の字が使われています。報せは情のこもったものでなければいけないのです。

「情」があるから、すんなり、すとん、と理解できます。でもほとんどの人が情のない、つまり人を欺くような報せに翻弄されてしまっています。情のある報せ「情報」を見極められる人にならなければいけません。

経営者である前に人として、この「情」の字がやさしく暖かいものに見えてこなければいけません。

石川さゆりの「北の女房」これが中小企業のテーマ曲だと私は勝手に決め込んでいます。

中小企業を船に例えればオンボロ船です。ちょっとした時化でも眠れない日が続きます。故障して何日も動けないこともあるかもしれません。でも実は日本にはほれぼれするような愛すべきオンボロ船がいっぱいなんです。建物はオンボロでも最新の機械が入ってたり、すごい、と唸らせてくれるノウハウがあります。
中には豪華なクルーザーに見える船もありますが、そんな船に限ってちょっとした時化で簡単に沈んでしまったりします。でもそういう船でも中味が本当にスカスカで何もなかったのかと言うとそうでもなくて、ただ、操船が下手なだけだったという事も多々あります。
「うちは10年で上場します、出資していただいた皆さんにはポンと現金で一軒家の1つくらい買ってもらえるよう頑張ります、」と挨拶した社長がいました。
意志の塊のような人で、その勢いで事業を伸ばそうとしたのですが、社員さんの話は全く聞く人ではありませんでした。気に入らなきゃクビです。せっかく仕事をくれたクライアントさんにも仕事がこじれるとどうしてうちの良さがわからないんだと怒ってしまいます。

それでいてお金持ちの話は真剣に聞いてしまいます。でも儲かったって言う話はつまるところ自慢話でしかありません。そして失敗談がない話ばかり聞いていると絶対うまくいく、そう思い込んでしまうようです。

結局、一所懸命稼いだお金は寄り道して気が付いた時にはいくらも残っていませんでした。

本業にもっと真剣に取り組んでいれば、社員の思いをわかってあげられれば、クライアントの本当のウォンツを汲み上げることができたら、「情」の字が心に浮かんでくるような人だったら本当に10年で上場していたかもしれません。

決して役に立たないものを売ろうとした訳ではありません。せっかくの才能を自分の都合だけのものにしてしまったことで躓いてしまったのだと思います。今は私の話も聞いてはくれなくなってしまいましたが、いつかそのことに気が付いて、立ち直ってくれればいいなあと思っています。

成功、失敗、とも違うもっと大切にしなければいけないもの、それが「情」です。

「どんなことがあっても給与は遅配しちゃダメなんだ、」不渡を出そうがそれだけは最後まで貫いた社長は復活しました。社員さんから「俺をクビにしてくれ、俺一人なら何とか食っていける、会社が復活できたらその時は呼んでくれ、」そう言われて泣かない社長はいません。どうしてもうまくいかないこともあります。でも、「情」の経営をしていれば復活できる、そう信じます。

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